モロッコでは新学年のスタートは9月です。
今年2016年は、公立小学校は、羊の犠牲祭と選挙の関係で9月19日から開始。
プライベートの小学校に通う我が子は、9月1日から学校に行かせました。長男曰く、ほとんどの子供は学校に来ていないそうですが、とりあえずは長い夏休みで頭がぼけているのを矯正するために、学校に通わせます。
今回、息子は6月末から8月末までの長い夏休みの間、日本の実家で過ごしました。
そして8月末に初めて一人で日本からカサブランカまで飛行機に乗って帰ってきました。予定していた日に飛行機がキャンセルされ渡航日が延長されるなどのハプニングもありましたが、混雑するパスポートコントロールの長蛇の列を横目に、空港係員2名のアシストを得てVIP待遇でカサブランカ空港のパスポートコントロールを通り抜けゲートを出てきた息子、背丈も伸び、表情も大人びていました。
ひとりで旅行することに周りからは心配の声も上がっていましたが、可愛い子には旅をさせよ、とはその通りで、昔の人の格言にはやはり意味があるのだなあ、と実感。家でも、家事の手伝いを進んでするようになったり、親に対する気遣いを感じるようになり、母親としては嬉しい限りです。
脱線しましたが、9月から新学年のスタートだというのに、生徒数もまばらというこの緩さ。子供に聞くと学校が始まる最初の1週間はいつも子供は数人しか来ないらしく、私から言わせると学校に通わせない親の神経がよく分かりません。モロッコの子供は、夏のあいだ夜更かしを続け(深夜を過ぎても外で遊んでいる声がします)、朝は9時過ぎまで寝る生活。これを強制的に治すのが9月1日の学校開始日だと思うのですが、学校にくる子供の方が少数派・・・。
こんな感じですが、きっちり月謝の支払いは求められるし、新しく購入しなければならない教科書リストは長々と続きます。最初の1週間は、授業らしきものは行われず、先生は子供を教室にのこして会議に行ったりするので、子供だけで色塗りや全学年の復習をしたりしていたそう。先生の打ち合わせなどは子供が学校に通う前にしたら良いし、子供だけに教室を任せておくのも疑問です。
そんなことは日本ではありえないよねえ、と長男に話すと、10歳まで日本で育った息子はずばり言いました。
「そんなん当たり前、モロッコ人は将来のことと他人のことを考えないんだから!」と。
まさに言い得て妙。
そうです、ここで生活するにあたりぶつかる諸所の問題の原因は、この二つに起因していると言っても過言ではないかもしれません。すごいぞ、息子、君は学校という狭い世界で日々、モロッコ人と過ごしてきて、そんなことを考えるに至ったのか?!と親ばかですが、関心した次第。そしてそういう彼は、他人のことを考えない同級生たちから身を守る術も学んでいるようです。
息子のことを小さいときから知る日本在住の知り合いのお母さんが、「モロッコに行って、息子さんモロッコ人のいい意味の”したたかさ”も備えたみたいね」とコメント下さったのも納得です。日本にいて求められる素直でいい子のままでは、モロッコの学校ではやっていけません。
知らない間に成長していく息子の姿、嬉しく思いつつ、親である自分も成長しないと!と思わされた今年の夏の終わりです。