ザーウィヤ・シディ・アッバス Zaouiya Sidi Abbes(マラケシュの聖人)

Zaouiya Sidi Abbes

マラケシュで最も重要な聖人が眠るZaouiya Sidi Abbes

マラケシュのメディナ(世界遺産の旧市街)、観光客が行き来する地域で道に迷ってしまうことはめっきりなくなりましたが、しばらく間をあけて行くと、大丈夫かな、道覚えてるかな?と一瞬不安になることはまだまだあります。

こないだまったく足を踏み入れたことのない地域に、マラケシュ旧市街を知り尽くしている友人の案内で行くことがありました(目的地への通り道だった、だけなのですが…)。そこには、なにか特別な空気が漂う場所で、まるで神社の境内に足を踏み入れたかのような空気がただよい、フェズの旧市街の雰囲気とどことなく似ている感じもする、喧騒にあふれたマラケシュ旧市街とは別なる空気がありました。

足の不自由な車いすに乗った人がやたらと多い場所で、何やら、日本の神社境内にあるお守りなどを売る受付所があります。受付所近くにいたモロッコ人男性に聞いてみると、ここはZaouiya(ザーウィヤ)だと。モロッコでZaouiyaというとフェズのムーレイイドリス廟が有名ですが、大きな意味では宗教学校や、宗教的に崇められている聖人が眠るお墓のことをいいます。

なるほど、だから特別な空気が漂っているのだなあ、と納得しました。名前も教えてもらいました、Zaouiya Sidi Abbesというそうです。

最近見つけたmarrakech旧市街のBAB(by courtesy of Y.O.)

この秘密の門っぽいところからSidi Abbes地区に抜けれます(by courtesy of Y.O.)

家に帰って早速Sidi Abbesについて調べてみると、(12世紀にセウタ生まれ、13世紀初頭マラケシュ没)世俗社会から距離をおき、マラケシュから離れたところで仙人のような生活を営み、毎週金曜の大礼拝のときにだけマラケシュに通ってきていたそう。当時のモワヒッド朝(AlMohad朝)のトップがそんな彼に、マドラサ(宗教学校)と家を提供するので、町で人々に教えを説いてくれないか、と頼み、彼は以後マラケシュで、貧者の救済が最も重要で推奨されるべきことだ、と教えを広めたそう。当時から、極貧状態にいる人や病に苦しむ人が彼のもとを訪れ助けを乞うていたようです。彼の死後、小さなサンクチュアリ(霊廟でいいでしょうか?)が建てられ、お参りに来る人が絶えなかったそう。

その後、17世紀にサンクチュアリの隣にモスクと図書館が建てられ、王朝は変われどもそれぞれのスルタンが改築やら増設やらを重ね、最近では現国王のモハマド六世の父親、ハッサン二世が1980年代に建物の装飾工事をしたそう。

そんなスルタンのご恩寵を脈々と受けつづけ、現在にいたる霊廟、Zaouiya Sidi Abbes。客引きや、観光客向けのマラケシュに疲れたら、(あくまで霊廟ですので、マナーを守りつつ)ぜひ一度足を運んでいただきたいと思います。

おまけ:マラケシュには7人の聖人がいると言われていますが、このSidi Abbesが最も規模が大きく、お祈りをする人も多いそうです。機会があれば他の霊廟にも足をむけてみます。

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