灼熱のマラケシュを逃れてSidi Kaoukiに逃避、そこで触れたベルベル人的ホスピタリティ

Sidi Kaoukiビーチは風が強いのでカイトサーフィンの練習場に、ラクダ、子供、カイト、絵になる。

Sidi Kaoukiビーチは風が強いのでカイトサーフィンの練習場に、ラクダ、子供、カイト、絵になる。

初めてマラケシュを訪ねたのは20才の時、それは運悪く夏。クーラーの室外機から出てくるような熱風が町を駆け抜け、呼吸をすると暑い空気が肺に入る…、なんだこの暑さは!?と暑さへの準備ができていなかった私は、日本の暑さとは質の違う「空気の温度」に衝撃を受けたものです。

そのころは、カサブランカ住まいで、カサブランカ人が週末に大挙してマラケシュに訪れるのを知っていただけに、なぜこんな暑いところにみんな来るんだ?と疑問に思ったのを昨日のことのように思い出します。(実情は、カサブランカ人はプール付きホテルでのんびり、反対に私は、日中15時頃みなさんが昼寝をしている時間に出歩いていたのでした…)

この強烈な体験が一種のトラウマとなり、夏のマラケシュは逃げ出すに限る、と思ってきたのですが、8月も週の半分は海沿いで過ごすことで、この暑さをなんとか回避してきました。アガディールや、サーフィンのメッカTaghazuutなどいろいろ迷走したのですが、結局、エッサウィラから車で20分ぐらい南下するSidi Kaoukiが人が少なく、快適、安い、子供のサーフィンもできる、ということで、お気に入りの場所に落ち着きました。

Sidi Kaoukiでレンタルボードをした店の馬は、パラソルを食いちぎり無残な姿に

Sidi Kaoukiでレンタルボードをした店の馬は、パラソルを食いちぎり無残な姿に

2回目の滞在、前回泊まったところが満室のため、急遽、ネットで予約したゲストハウスが思いのほか過ごしやすく、うちの旦那の田舎の風習を感じるベルベル人的ホスピタリティがあったので、書きます。

Sidi Kaoukiの町中から6㎞ぐらい海沿いの周りは何もないところにポツンとある、プール付きの2階建てゲストハウス、Dar Aalida。長さ12m程度のプールなのですが、深さが十分にあり、真剣に泳げます。Sidi Kaoukiはビーチも空いていてきれいなのですが、風が強い日は、口の中に目の中に砂が入ってくるので、そういう時にプールがあるとかなり重宝。到着すると出迎えてくれたのが、まったく愛想のない、T-シャツにジャージズボンのいかにも服装に無頓着です!という感じの日焼けした褐色のじみ~なかんじの地元のおじさん。

Dar Aalidaで飼われている(?)ラクダの子

Dar Aalidaで飼われている(?)ラクダの子

むむ?この人は、いったい何なんだ?といぶかしく思っていると、やはりスタッフで、チェックインからいろいろ世話をやいてくれます。しかし、まったく愛想がなく、私の旦那とベルベル語で話しはするものの、私とは目も合わせてくれません…。宿泊シートを記入するときに、日付を書き間違えたのですが、それをけっこう真剣に指摘され、こちらはお客さんなのにちょっとタジタジに。この人ホテルで働く種類の人間じゃないなあ、と思っていると、wifiのパスワードを聞くのを忘れたので、そのおじさんに声をかけてみると、すごい反応で、コードを丁寧に教えてくれ、拍子抜け。なんだ、親切!と思い、翌日、階段ですれ違ったので、サラームと挨拶すると、完全無視!

ひたすら目を合わせないように歩いています…。

その後、何回か挨拶するも(まあ、こちらの挨拶も声は大きくないのですが…)、聞こえないのかスルー。しかし、旦那とは普通に世間話をします。

この人、ベルベル人オーナーの右肩のようなのです。

そして私がだした結論は、どうやらこれは、田舎のベルベル人の伝統に則った行動!だということ。私が旦那の実家(アトラス山の中腹にあるベルベル人村)に居候した4か月で学んだのは、「既婚女性には、無駄に話さない、視線を向けない…、ぜったいに男性側から(知らない)女性に話しかけない」こういう暗黙のルールがあるようだ!ということ。

というのも、ながーいおひげを蓄えたコーランが愛読書の義理のお兄さんも、なかなか視線を合わせてくれず、挨拶するだけ、という関係がかなり長く続きました。でも、このお兄さんとても親切で、わたしの子供たちにも優しく、いつもお土産をいっぱいくれたり、お嫁さんがいないときは、自ら私たちにお茶をいれてくれたりする細やかな人なのです。

この男性の行動、昔のお兄さんの行動にとっても似ています。

面白いのが、滞在を終えた後に、このホテルのbooking.comかどこかのレビューを読んでいると、ほとんどの欧米人が「スタッフが大変控え目、遠慮がちだ(discret)」とコメントしています…。で、コメントしてる人はどうやらほとんどが女性のよう。

よくモロッコの旅行した方が(特に女性)が、モロッコ人男性は外国人女性とみれば、見境なく声をかけるとか、モロッコ人はとてもフレンドリー、気さくだとか書かれていますが、実情は、違うと思います。特に地方では、女性にむやみに声をかけたり視線をむけたりするのは、ご法度。口が堅く、さりげないのが、昔ながらのベルベル人男性たる姿だと思います。でも、情報や道案内を求めるととても親切に接してくれるのが、この種類の人たち。

けっしてマラケシュでうろうろして声をかけているヘンな若者=モロッコ人男性と理解しないでいただきたい、とちょっと声を大にして言いたいところです。

プールは清潔で気分転換にぴったり

プールは清潔で気分転換にぴったり

慎み深く、静かで、べらべら喋らない、まるでどこかの国の昔の男性像みたいですが、これがベルベル人的ジェントルマンなのだ~!とDar Aalidaを去ったあとに、あのスタッフの行動がすべて理解できたのでした…。(気づくの遅い!)

そして、このスタッフがさりげない距離をとってくれるお陰で滞在は快適で、来年もまた泊まろう!と心を決めています。

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