モロッコで厳しい環境を生きるロバの安息の地、Jarjeerサンクチュアリ訪問記

@jarjeer 穏やかな時間が流れています、ロバは気のあう仲間との~んびり

唐突にアルガンオイルと全く関係のないお話しです。

日本で会社員生活に疲れていた私は、近所の乗馬クラブに通い、あまりうまくはなりませんでしたが、ほぼ毎週、馬にブラッシングをしたり、馬の身体に触れていました。不思議なことに、週末馬に触れると、また月曜日出勤できる元気をもらうのです。馬の癒しの力を感じていました。

そこの乗馬クラブの馬たちは競走馬あがりのサラブレッドがほとんど、現役時代、有名だった馬も何頭かいましたが、サラブレットはただでさえ繊細で血の気も多いのに(競争するために交配されているのですから当たり前なのですが)、競馬上がりの馬というのは扱いにくい、急に暴れたりする怖いもの、という印象がありました。そんなサラブレッドについて調べていくうちに、競走馬がどのような生活を送ってきたのか、引退後はどうなるのか、など範囲が広がり、競馬業界の馬をただの商品とみなす姿が見えてきました。

故障したり、芳しい成績を残せない競争馬が、2才~4才という若さで(馬の寿命は30才なので人間でいうと2才は中学生ぐらい、3歳は高校にあがったころ)次々と処分(屠殺)されているのが現状です。アメリカ(州によっては屠殺が禁じられているので、そういう場合は他国へ輸出して処分する場合もあるそう)やオーストラリアでも同じような哀しい現状があるようです。そんな中、この現状を個人で変えようとプロジェクトを立ち上げた女性がいました。

Marrakechからアトラス山脈に向かうと景色のダイナミックスさに声を失う時が…

関東から馬の保護だけを目的にまったくコネのない北海道へ移住、自らの資金と有志からの募金を元に、引退した競走馬を保護していらっしゃいました。その女性は馬の心が分かるというか、馬を熟知されていて、私は自分ではできないことを彼女が馬の命を救うために自らの人生をかけてやっていることに心を動かされ、モロッコに引っ越す前まで短い期間でしたが、寄付をしていました。彼女の活動は、希望の光りというか、こういう小さな動きが、大きな流れにつながるきっかけになるだろう、と思っていました。が最近、普段からの無理がたたり、体調を壊され入院された、と聞き、心を痛めています。詳しくは、下記リンクをご覧ください。

競走馬を救え!プロジェクト

http://papamama.saltvalleyfarm.com/about

モロッコに来てしばらくは、アトラス中腹の山の中にある実家に世話になり、そこには当たり前のようにロバやラバと一緒に暮らす生活がありました。山の中のロバは週に1度近郊で開かれるスークの日に大事な足として利用され、それ以外の日は、小麦袋やブタガスなど重たいものを買う時にトランスポートの役割をしています。毎日働くわけではなく、週に数回だけ働き、何もない日は広い場所でのんびり草を食べる姿がありました。

隣近所にはラバがいて、背の高いラバに乗り、山を登っていくおじさんの姿はとても絵になり、漠然と自分もラバを飼いたいなあと思っていました。

その後、マラケシュ市内、特にメディナ(旧市街)に足を運ぶ機会が増え、酷使され、いつもうなだれている、死んだような眼をしたロバをよく見かけました。たまに、車がビュンビュン通る大通りを飼い主に捨てられたラバがよたよた歩く姿も見ます。町で見るロバ、ラバたちは鞭打たれ、使えるところまで利用され、最後は道に捨てられるのが運命。。。

かわいそうとは思うが、何ができるのか?と思っていたところ、マラケシュから30分もかからないベルベルの村の近くで、イギリス人夫婦がロバのサンクチュアリー(保護院)をされていることを知り、早速、事前に予約をして訪問してきました。

Jarjeer Mule and Donkey Refuge

http://www.jarjeer.org/

イギリスで弁護士をされていたMachin史は、引退生活をマラケシュ近郊で過ごすべく、土漠が広がる田舎に大きな土地を購入。その後、観光客向けの宿泊施設を建てますが、奥様が、「プールサイドで寝そべる外国人が指を鳴らし、モロッコ人ウェイターが飲み物を給仕する」という図柄がどうにも受け入れられなくなり、急遽、宿泊施設の計画を取りやめます。

jarjeerの入り口で迎えてくれるラブラドール、お見送りもしてくれますよ!

そして、かねてから心を痛めてきたモロッコのロバ救済のための施設運営を始めます。初めは、年老いたロバを酷使するオーナーからロバを買い取り、安らかな余生を過ごすべく保護していたのですが、動物愛護に関心のある人々の間で名前が知られるようになり、今では北はタンジール、カサブランカから、レスキューを求める声がかかり、遠方からのロバ、ラバも保護しています。その数、現在40頭弱。命には限りがあるので、毎年、2,3頭が安らかにあの世へ行き、そうすると新しいロバが入ってくるという循環があり、だいたいこの頭数を保っているそうです。

@jarjeer 療養中のロバがいる厩舎

ロバの牧場を訪れて驚いたのは、ロバは馬と同じく仲間を欲する動物で、気の合った仲間とグループを作り、じゃれ合う姿を見たこと。また決まった時間に、グループで柵の周りを散歩するそう。また、ロバ自ら、人間に近づいてきて、鼻を私の身体にこすりつけたりしてきます。最近はうなだれたロバしか見てこなった私は、ロバはこんなに可愛らしい愛嬌のある動物なんだ、と開眼。愛をもって触れられると、動物は愛を持って人間に接するようになるんだなあ、と実感。

Machin夫人は、より多くの人がモロッコ政府に働きかけ、ロバを路上で働かせることを禁ずる法律ができるべく、プッシュするべきだ、と言います。

Mrs. Machin

Mr. Machin

現在、ロバ達を見渡せる場所にカフェを建設されています。そこでゆっくりお茶を飲みつつ、ロバの自然な姿を見てほしい、そしてより多くの人にロバは愛すべく生き物であるということを知ってほしい、と仰っていました。

ちなみにここには、バーブとよばれる北アフリカ原産種の馬がいます。栗毛の背丈の大きい立派な身体で、地元の馬乗りは、鞍を付けずに裸馬に乗る、彼らは本当のホースマンだよ、とご主人が話していました。今度訪問するときは、馬にまたがる勇姿を見たいなあ、とひそかに思っています。

この施設はマラケシュのSPANAとも関連が深く、SPANAからの馬を預かったのがすべての始まりだった、そうです。SPANAはイギリス発祥の動物保護施設で、無料で家畜の診察をしたり、治療を施しています。

ロバの養老院 Jarjeerは、マラケシュから車で25分。

市内からLalla Takerkoust(有名な湖)方面に向かって走り、Oumnassという村が見えてきたら、右方向のカーブのあたりに看板がでてきます。右折し、未舗装道を道なりに10分ほど走れば、立派な門のあるVillaが見えます。そこがJarjeer入り口です。訪問されるときは事前にメールまたは電話で連絡を。ご夫婦が丁寧に、一頭一頭のロバ、ラバの境遇、現状、性格などを説明してくれます。

詳細情報が必要な方、secrets-marocまでお問合せ下さい。

http://www.jarjeer.org/

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