大袈裟なタイトルで始まった今回の記事。
日本の都会生活者だったわたしが、日本での慌ただしい共働き生活にある意味見切りをつけて、なぜモロッコに飛行したか?
まわりに国際結婚の知り合いもおらず、仲の良い友人はシングルがほとんどというなかで、
モロッコ引越しの参考になるのはネット情報がメインでした。
実際に引っ越した方に実情を聞くこともなく、無防備に飛んでしまったわたしたち。
当時は、今やるしかない!今がラストチャンスだと思いこみ、自分では準備をして決行したつもりでいた。
が、今思うとその当時はとりあえず「日本を出てみる!」ということで頭がいっぱい、
そのあとの現実の生活が具体的に描けておらず、移住後も数年、右往左往していました。
今がラストチャンスだと思ったのは、漠然と40歳になってから新天地はきついなーと思ったのと、
子供のバイリンガル研究者の著書を読んでから。
中島和子さんの著書には、9歳までに外国で第2言語環境に身を置いた場合は、それほど苦労なくバイリンガル
になる可能性があるが、それ以降の年齢の子どもの第二言語習得能力は難しくなる、とあり、これにも影響を受けました。
(この中には、外国に移住した子供の年齢が小学校中学年のばあい、現地のこどもと同じ言語能力に達するには
7,8年かかるとあり、過度な期待を子供にしないように戒めたものです…)
そして結果、長男は9歳の誕生日をモロッコで迎えたのでした。
引っ越しを考え始めた理由
- 共働きで常に忙しかった、時間の余裕のある生活をしたい
- モロッコ人のパートナーが長年の日本の生活に疲労困憊
- 同じ会社に長く務めルーティンになりつつあり、待遇面では良かったが、やりがいのある事を求めた
- 会社員という立場から決別したかった
- 子供が日本語オンリーの環境で育ったため、せめてアラビア語で子供と祖父母が喋れるようにさせてやりたい
- 日本の学校環境は規則、ルール、みんな仲良くすべしでがんじがらめで、子供がのびのびできないと思った
- モロッコの田舎でのんびり暮らしたい
- 当時、乗馬が息抜きで、はまっていた。あわよくば馬も飼いたいな
- 核家族での生活が疑問になり、モロッコの親戚が近い環境が子供にとってよいものだと思った
モロッコに行けば、上のことが難なく実現するだろうと思っていました。
人生そんなに甘くありません、あれもこれも一度は実現できません。
何かをとれば何かが犠牲になる、こんな単純なことに、引っ越しをしてから気づきました。
(正と負の法則ですね、美輪先生)
そして、実際にどれが実現しつつあるのか。
よーく考えてみると、ほとんどない!!のですねえ。
山の中に住む義理の両親との同居はとうてい無理だと半年ももたず
(主体的にできる事が少なく、1週間が1か月に感じます)。
時間の余裕?うーん、確かに、子供会とか保護者会とか町内会からは解放されましたが、
結局子供がいて仕事をしていれば、忙しいことに変わりなく。さらに、恐ろしきモロッコの1日2往復
学校送り迎えシステムが、午前中2回、午後2回とわたしを学校に向かわせる…。
これ、正直、何のため?誰のため?親の運動のためかいな?と思います。
ルールにがんじがらめでない?確かに、ごみは捨てるし、先生は授業中にリンゴかじりだす・・・と、
それはそれは自由ですが、息子曰く、モロッコ人は人の事ぜんぜん考えてないらしく、ルールを守る
ことをもっと教えるべきだと逆に思う羽目に。
核家族はつらい、親戚と近い関係で子育てを、と願った私は、逆にモロッコにきて核家族でないと
ダメだな、と思うように。しつけ、食事、習慣もまったく違う人たちと、ずっと一緒はやはり無理があります。
モロッコの田舎でのんびり馬は、夢のまた夢。田舎の人は保守的、しかも旦那の田舎にいくと目立たない、ヘンなことはしないでくれ空気が強く、女性は極力家にいる世界。
教育レベルが都会と比べると低く、そこに日本からきた子供をいれることはやはりできない、と気づきました。
モロッコは今、私立校が全盛期。マラケシュやカサブランカでは月に1,5万円ー2万円を払って子供を私立にやる人が増えています。
知るかぎり、どちらか一方の親が外国人の場合、公立小学校に通わせている人はいません。
子供に手間(往復x2回)とお金が意外とかかる、のが実情です。
モロッコの田舎でのんびり生活は、子供が巣立ったあとに考えるべきことなんだ、と痛感。
というのも、日本では都会でも地方でも公立学校のレベルの差はさほどありませんが、
(逆に少人数でケアが行き届くなどの利点もあるのでは?)
ここモロッコは何をとっても都会と田舎のレベルに雲泥の差があります。
田舎にいると教育の質がぐっと下がり、読み書きそろばんができれば良いレベルを期待する人たちと
机を並べることになります。また、字が読めない親をもつ子供が少なくないことも、影響を及ぼすしています。
私たちがいた村では、子供の数が多すぎ、小学校は午前中のみ通う子、午後だけ通う子と2グループに
分かれていました。これではそもそも、勉強量が足りません。
モロッコの田舎暮らしは、学齢期の子供を抱えた親には問題視する要素がいっぱい。
会社員から決別、まあ、これはそれなりにできているレベル。基本在宅ワークになりました。
タイムカードのために走ることはもうないですから。
子供の言葉環境は、期待の範囲内かもしれません。
しかしフランス語とアラビア語がいっぺんに来るので、やはり、不自由なくとはいきません。
これは長いスパンで考えないとダメ。
結局、期待していた以上の結果がでたのは、旦那のコンディションかもしれません。
日本で疲労困憊してうつ気味になっていた彼が元気になり、曲がりなりにもモロッコで
独立して仕事をし、彼本来の気質を取り戻した気がします。
モロッコに来てから、自分がどう生きたいのか、どう子供を育てるのか、いやでも考えるように。
豊かな国、日本は情報過多で溢れすぎて、かえって考えたりすることが少なかった。
ここは情報は自分から求めないと入ってこない国。
なので、自分が何をしたくてそのためにどんな情報が必要か?を精査して考えるように。
副産物といえばそうですが、そんな機会を与えらえたことはモロッコに来たから。
いいことも、もちろんあります。
次はモロッコ人庶民の置かれているタフな状況の説明、さらにモロッコに引っ越しを考えてる方の手助け
になる情報などを提供したいと思います。
コメント
初めまして!コメント失礼します!
私もモロッコ人と結婚し現在日本在住5年になりました!今回のブログ共感できる部分がたくさんです!自由にのびのびと生きてきた人に日本で生活するのはやはり厳しいものがありますよね。
うちの夫も日本に疲れているようです。
旦那様元気が戻り本当にっよかったですね!
私達も移住できるよう頑張ります!
ブログ楽しみにしています!!
Ayumiさん、
コメントとても嬉しいです、涙ちょちょぎれそうです。
日本にいたときはなかなか共感してもらえる方や、国際結婚の難しさを分かってもらえる人がいませんでした。(同じ境遇の人がすくなかったですから)
日本での生活の大変さもわかります。
意外なことに、旦那や他のモロッコ人男性もですが、海外生活のブレークを挟んでモロッコに戻ると、最初1,2年けっこう疲れるモロッコ人もいます。
日本の効率的なシステムに慣れていて、何をするにも時間がかかったりたらいまわしにされるこちらのシステムに疲労困憊、たかりにくるモロッコ人にうんざい、とか。モロッコ人でも生きていくのが大変なモロッコ、外国人ならよほど着丈であるか、逆に能天気であるか、ぐらいがきっと生活するのにちょうどよいと思います。経験者だからわかること、私でわかる範囲でつづっていこうと思います。
はじめまして。和音ともうします。ブログ参考になることばかりでかじりついて読んでしまいました。現在モロッコに越してきて2年目ですが現状実際にいるのは1年くらいで、(頻繁にモロッコをでています)言葉や生活もぜんぜんなれません。。。苦悩している最中で子育て中でもあるのですが、自分の時間も慣れる事もなかなかうまく行かず、、、、涙。。。。がんばらなくちゃ!1と思っていも、なかなかうまく行かず、言葉の壁もありで、友達もいなく、、、、子供と二人の小さな世界です。。。。。アドバイスいただけたらうれしいです。
お読みいただいてありがとうございます!
暑さにかまけてあまりHPを省みず、返信が遅くなってしまいました。
モロッコで生きるのはなかなか大変です。
頑張らなくていいですよ~、わたしもやっと最近、こんな場所で生きてる自分はすごい!って思えるようになりましたから(笑)
お子様がいらっしゃるのは、いいことだと思いますが、気軽に外出できないのが時々辛いこともありますよね。
息抜きできる方法を見つけられるのがまずは必要だと思います、こっちの何かについて興味が持てれば生活も楽しくなると思います。
お料理とか、モロッコの伝統工芸とか、モロッコの馬、ハマム開拓とか。モロッコインテリアでも、ヨガやオリエンタルダンスもいいかも、ですね。