まだ20代の頃、モロッコの経済都市カサブランカで過ごした2年半、へえ、と思うモロッコ人女性の美に関する逸話をいろいろ聞きました。その中の一つに、モロッコ人女性の大半は普段はメークはしないが、ハマム(ふつうは週に1度通います)に行った晩は、フルメークを施し、セクシーランジェリーを着て旦那さんをベッドで待つ、という話し。
まず、私が気が知れないと思たのが、せっかくハマムにいって清潔な肌になったのに、そこにフルメークをするなんて…、という事と、フルメークでセクシーランジェリーなんて全くもってやる気ありすぎて反対に引かれるのでは?という点。にわかに信じられないな、と思ったのが正直なところでした。
今回モロッコにまた来て、いろいろ知り合いができましたが、モロッコ人と結婚した日本女性から、「独身時代は何も言わなかったのに、結婚後、化粧をして出かけようとすると、なぜ化粧をするのだ、しない方がいい。」と言われた、という話しをよく聞きます。確かに、ある年齢以上のモロッコ人男性の一部は、化粧をする奴はプロの女だと思っている節があります。公衆の場で化粧を施している女性に対する印象はどちらかというとあまり良くない、というのが実感です。
さて、ひるがえって、日本人は、社会人になって化粧の一つもしないと恥ずかしい、という声もあったり、ある程度の年齢の方が化粧をしないというのは、すごくポリシーを持って素肌で勝負している人、もしくは単に横着な人、のどちらかに分かれると思います。いずれにしても普段からメークをすることはあまりに普通で、そのメークは夜にはきれいに落とすのが当たり前。
若かりし頃に聞いた、ハマムの晩はフルメーク話し。2年前また、思い起こされました。。。モロッコの山の中の実家で暮らしていたころ、何かの機会に義妹たちが集まった時に
「あなた、夜はメークしてるの?メークして、きれいなランジェリー着て待機すると旦那さん喜ぶよ!」とさらっというのです。
場所は、アトラス山脈の麓のとても保守的なベルベルの村です!こんなところで育った娘たちもそういう事をいうので、これはモロッコではかなり一般的で、なんだか奥様方の必死で旦那を逃がさないようにする秘策、という感じがします(都会は別ですが、まだまだ地方では、離婚は何としてでも避けなければいけないこと)。
確かに、マラケシュに住む義妹は出かけるときはヌカブをかぶり、黒装束の「眼だけ星人」になっていますが、夏に遊びに行くと豊満な身体にぴったりしたタンクトップにショートパンツ的な恰好で寛いでいたりするのでびっくりします。まだ20才を過ぎたぐらいの彼女、10ぐらい歳の離れた旦那の弟と結婚したのですが、別の妹いわく、ピタピタタンクトップが彼女の旦那さんが好きな恰好らしいのです…。(義弟に直接聞いたのではありません、彼の名誉のため…)
で、本題。
本日、すっかり週のタスクになっているハマム通い、金曜日の午後ということもあり(イスラム教ではもともと金曜日は休息の日で、職人などは金曜日が休日というのが多い)すごく混んでいました。
その中で、一番奥の一番熱い部屋の中央に陣取る、20前後の娘と中年の母親。この二人、混雑したハマムで場所を広くとり、大きな声でしゃべるので目立ちます。なんだか感じがよくないなあ、と思いつつ、場所がないのでやむなく近くに座ると、お母さまの方がゴロンと仰向けになり、娘さんがその巨体を垢すりをしようとしています。で、ちらっとみて目を疑ったのですが、お母さまはパンツ(肌着)をつけておらず、すっぽんぽん。そして、下の陰毛がきれ~いになく、あそこがまるで娘さんのようにつるつるなのです。モロッコ女性、下の毛を剃るのはイスラム教徒として当たり前なのですが(男性も)、ここまでつるっつるの人、初めて見ました。
(と、いうのも多くの人がハマムで壁に向かい陰毛処理を剃刀でするので、ある程度目に入ってしまうのです。)
そして、私は思ったのです。そんなところの毛の処理って正直、面倒臭くて、正直、何もしなくても社会的には何も言われないのですが、きっちりつるつるにしているこのおばさん(だってもう50才ぐらいですよ!)誰のためかは知りませんが、ちゃんと気を遣うんだなあ、と。
日本ではおそらく身だしなみは↓
社会的意義>自分だけor 旦那のため
モロッコではおそらく↓
社会的意義<旦那の為、イスラムの教え
夜だけきれいにメークするモロッコ人女性に対して意味が分からない、と思っていましたが、それはそれなりに、意味があることなのかもなあ、と思った午後のひと時でした。
<補足>恐らく、陰毛処理は清潔保持のためにイスラム社会で推奨されていて、男性が喜ぶから、ではないでしょうが…見た目はない方がきれいな気もします。