ラバトで出会った、いちタクシードライバーのストーリー…

マラケシュからラバトまで役所的な用事のために、日帰りで行ってきました。

ラバトの何が最高か、といえば。。。

・海が近いので湿気に飢えている私を空気が癒してくれること

・町を歩く人々の装いがシックで目を楽しませてくれること

・皆さん忙しいようで外国人に目もくれず歩いてくれること

・誰もうるさくしてこない快適な歩きやすいメディナ(旧市街)があること

・海賊の歴史を感じさせるウダイヤカスバの要塞とサレの町があること

・旅行する身にとって、最も重要な足となるプチタクシーの運転手がうるさく話しかけてこないこと&絶対にタクシー運賃のぼったくりがない事!

でございます。

有名な海賊がいた町サレ、今は開発の波が押し寄せ15年前とはまったく違う姿となっていました…。

有名な海賊がいた町サレ、今は開発の波が押し寄せ15年前とはまったく違う姿となっていました…。

旧市街からすこし郊外に走る用事があったのでつかまえたプチタクシー、どちらから話しかけたのかは覚えていませんが、ぽつぽつ話しをし始めると、見かけから想像できない面白い経歴の持ち主。

いたって庶民的な恰好をしている齢40手前か過ぎぐらいのおじさん、君英語しゃべる?と聞いてきて、まあ、喋るよ、というと「僕約2年間、仕事を終えた後、英語スクールに通って勉強したけど、難しくて全然身につかなかったよ」というのです。あら~運転手なのに英語スクール通うって感心ねえ、と思っていると、続けて、実はお姉さんがカナダに住んでてぼくもカナダで生活したいんだ!彼女はもう10年以上むこうにいるけど、なかなか僕のためにビザを申請してくれなくてね、こないだやっと「まず、英語を身に着けたら手続きしてあげる」と言ってくれたんで通ったんだけど…。

ラバトの歩きやすいメディナに隣接するウダヤカスバ、要塞だったため大砲がみえます。

ラバトの歩きやすいメディナに隣接するウダヤカスバ、要塞だったため大砲がみえます。

お姉さんどうやってカナダに行ったの?と聞くと、

彼女は医療系の資格(フランス語の単語力がなく詳細不明…)をもっているらしく、それを使ってディプロマ取得後、まずイスラエルで4年働いたそう!(びっくり)で、イラン人の男性と結婚してカナダへ。今は主婦をしているそうですが、彼女と同じ資格をもっているこの運転手さん、ホテリエの学校にも通ったらしく、その他いろいろな学校に通ったようです。で、なんで、今タクシードライバーなの?と聞くと、組織で働くと嫌な上司の理不尽な命令を聞かないといけないし、人間関係がやっかいだった、みんながみんないい人ではないからね、と。それに比べるとタクシーの運転手というのは一人で仕事ができるので、気が楽だそう。

よくよく聞くとワルザザードのホテルでも4年ほど働いていたそうで、話しの流れから理解するに彼はずっと学校通いをしつつ働いている模様。いやはや、モロッコでは大学卒業者や学歴のある人が選り好みをして働かず、30歳をすぎても働いた経験がないような人をしっているので、あなたはえらいわ!仕事に貴賤はないのよ、勉強しつつ働き続けることって大事だわよ!と意気投合しました。

そして、突然、実は僕、2回も地中海を渡ろうとしたんだよ、若い頃、と。!?!?

なに?このいたってフツーで温厚そうで常識人に見える彼が、下手すりゃ、スペイン側の監視官に発射されて死ぬかもしれない、対岸に渡ろうとしたモロッコ人が溺死したニュースがながれるあの、例の危険な夢のヨーロッパ密入国に挑戦したなんて。。。

しかも2回も。

これは地中海ではないですが、簡易ボートでスペインまで行くことを想像してしまいます。

これは地中海ではないですが、簡易ボートでスペインまで行くことを想像してしまいます。

19才か20才ぐらいの時、斡旋業者にお金をはらって簡素なボートで渡ろうとしたが、結局、途中で怖くなって断念した、と。意気揚々と試みてもやはり、広い海の真ん中で海が荒れればそりゃ怖くなって、支払った金額をもったいないなんて思わず、モロッコに還してくれーと思うのは想像に難くないです。

そんなアドベンチャーを体験したおじさんは今日もカナダでの生活を夢見つつ、ラバトでハンドルを握っています。

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