アフリカ唯一のスキー場Oukaimedenへの道中であったおいしい窯焼きパン

 例年、3月上旬までアトラス山脈には雪が残り、真っ白な神々しい姿が見られるのですが、今年2019年は2月でも日中は20度を越す日が多く暖かかったためか、アトラス山脈の雪はだんだん薄くなり、それに伴い、わたしの心は、ちょっと待ってくれ~、わたしの精神安定剤、まっしろなアトラスを奪わないでくれ~と言います。

そんな中、残雪わずかに残るアフリカ唯一のスキー場といわれるOukaimeden(ウカイメデン)にだんなが知り合いをつれて行ってきました。到着前から雪は殆どない、という情報は把握していましたが、到着してみるとやはり黒い岩山がのぞき、雪は申し訳程度にのこっているだけ。ですが、モロッコ人の観光客も多くいてにぎわっています。みんな、今シーズン最後の雪を愛でに来たというかんじでしょうか。

さすがにスキーはできなかったのですが、標高2700mからの景色は圧巻。ハイキングが十分楽しめます(のぼり坂だけですが)。歩いた後は、地元の食堂で炭火でつくったタジンを堪能。交通渋滞と大気汚染、人にあふれたマラケシュを抜け出してリフレッシュするにはとっても良い場所。

旅行の楽しみは普段出会うことのない地元の人だけが知っている食べ物や料理だと思いますが、今回のお宝は、山の中に住むベルベル人のご夫人が、手作りの焼き釜で焼いた手作りのパン(中が空洞で、ピタパンのようなかんじ)!

こんな感じの泥で形づくり、日干しにした窯に薪をくべて、焼いています。出来立てのパンのおいしいこと、何枚でも食べられそうです。このピタのような種類のパンは私の旦那の村で見たことがないですが、Oukaimedenを下ったところにあるNectarome(ネクタローム)のビオガーデンでパン焼き講座を受講したときも、このピタパン種のパンがでてくるので、伝統的にこのあたり食されているパンなのでしょう。

そして、パンにつづいて遭遇したのが、これまた道端で販売していたりんご酢。この地方はりんごの産地なのですが、おばさんが自分で育てたりんごでつくったりんご酢をリサイクル瓶にいれて販売していたのです。これが、まあ、地元価格というか、まったくもって手軽な値段で売っていたので、「おばさん、もう少し利益とったほうがいいんじゃない?」とこちらが心配するぐらい。

このりんご酢、炭酸水で割って飲むとさわやかでとてもおいしかったです。写真ないのは、お許しください。

ちなみに、このあたりは「くるみ」が取れることでも有名。くるみの樹は細い白樺のような幹で、葉が風に舞うと葉の表と裏の色がちらチラッと変わったふうに見える特徴的な樹です。袋詰めされた胡桃を買って家で殻を割るのも、これまた楽しい作業。

寒い道端で1日釜で焼くパンのびっくりするぐらい安い売値に、この地方の人はほとんど自給自足にちかい形で生活していて(男性陣は、都会にでて出稼ぎをしているのでしょうが)ものに対する執着がない、ものがなくても満たされた人生をおくっていて、わたしのような俗人とはちがうんだろうなあ、と感じた次第。やはり家を離れて、近場でも、旅行をするといろいろと感じることはあるものです。特に、モロッコでは地域差が大きく、地方はほんとうに独自の文化、風習、食べものがあります。モロッコは旅行してこそ、その魅力を発揮する・・・改めて実感です。